写経の作法や意義を学ぶ
写経はそもそも仏道修行であって、人々に仏道を広め、大願成就を祈ることからはじまっています。平安時代からは修行の為や、病気平癒・先祖供養など祈りや願いを目的にした個人的写経が始められたようです。
写経は、心をこめて丁寧に書写すれば良いのであって、文字の上手い下手は、あまり問題ではありません。写経は坐禅と同じで、多くの人の信仰生活に心の安らぎを与える糧になっています。
現代に生きる私たちは、写経によって静かに落ち着いた時間を大切にするとともに、祈りや願いを生活の中に活かしてゆく一つの場としたいものです。
用意するもの
以下のものが必要ですが、東祥寺では筆以外はすべて用意していただいております。
- 筆
- 硯
- 炭
- 文鎮
- 写経用台紙(手本)
- 半紙
- 経本
写経の仕方
- 正座し、姿勢を正して呼吸を整えます。姿勢は肩に力を入れず、緊張のない自分の最も美しい自然体で行います。(椅子に坐る場合は、浅くも深くもなく腰掛け、背筋をまっすぐに伸ばし、背中は腰掛にもたれさせないようにします)
- お水を硯に少量ひたし、静かに墨を磨り、心を落ち着けます。
- 手を合わせて、ご本尊様に三礼します。その後、『四弘誓願文(しぐせいがんもん)』を三回、『般若心経』を読経します。
- 静かに筆をとり、表題から書き始めます。
- 写経中は慎重な心構えで、字を間違えないように注意し、丁寧に書写します。
もし字を間違えたときは、誤字の右横に点(,)を打ち、同じ行の上下いずれかの余白に正しい字を書きます。 脱字のときは、その箇所(文字と文字の間)の右に点を打ち、行の末尾にその文字を書きます。
- 日付は本文から一行あけ、はじめの一字分をさげて書きます。
- 終わりに願文などがあればこれを記します。この場合、頭に『為』と書いて、たとえば故人の冥福を祈り、その菩提の為とか、報恩、祈願の為の願文を記します。しかし、写経そのものが目的の場合はあえて記さずとも良いでしょう。
- 氏名を記し、末尾に『謹写』と印します。雅号は用いないこと。
- 書写が終われば、手を合わせて『普回向(ふえこう)』を唱え、写経を終わります。
- 硯と筆を綺麗にして保管します。筆は形をよく整えてください。
- 書写したお経は、住職に渡し、奉納していただきます。